サッカーコーチとしてのキャリアと年収イメージ

キャリア

サッカーを自身でプレーしてきて、サッカーが好きな人であれば、
一度は考えたことがあるのではないかというサッカー指導者という仕事。

これについて、例を挙げながら考えてみたいと思います。

まず、大きく分けて2つのパターンがありますね。


それは、

  • トップリーグ(もしくはそれに準じたリーグで)選手経験がある
  • 選手経験は学生まで

の大きなふたつ。
これによってスタートラインは大きく違うと思います。

極端な例で挙げると、日本代表経験もある有名選手と、
特段実績、経験のないアルバイトコーチあがりの指導者。
これだとイメージしやすいでしょうか。

そうです、スタートする前の立場によって、大きく異なるのは間違いありません。

Jクラブが指導者の採用を考えた場合、
アカデミー(トップ選手輩出につなげる強化カテゴリー)か、
もしくはスクール(普及目的)のコーチなのかのどちらかによって違いもありますが、
選手経験、ましてや代表歴まであると、大きく収入面での違いがあるのは事実です。
それでも一般的に言う高収入かというと、それば別だと思いますが。

Jクラブ指導者の一例

これは私が直接確認した範囲での話になりますが、
元選手で指導者になった際の年収で、500万円前後ではないかと思います。
もちろんそれぞれの実績によって異なります。

 

一方で、大学卒や専門学校卒で運良くJリーグクラブのスクールコーチに就職できた場合ですが、
これは大幅に低いラインからのキャリアスタートとなるのが一般的です。

実際の話として聞いた数字でいうと、サッカーの専門学校卒(JFA公認C級ライセンス取得済み)で、
某西日本のJクラブにスクールコーチとなった際の初任給が、手取り12万円

これは色々と考えさせられる数字ですよね。。。

手取り12万円では、実家暮らしの若者でしか生活していくのも難しい収入だと思います。
クラブによって、またその後の努力によってアップしていく可能性はあるものの、
初任給のレベルとしては世間からすれば高いものではありません。
むしろバイトでもっと稼いでる人も多いでしょう。

ですが、これが実情であることは紛れもない事実です。

一般募集してるクラブの募集要項見ても、
20万円/月 x 12ヶ月 = 240万円/年 といったものをよく見ますから、
十分生活していけるかと言われると、そうではないのが実情だと思います。

街クラブだとどれぐらい?

Jクラブがすべてではなく、サッカーの指導者としては、街クラブで指導する方がメジャーです。
ではそこではどれぐらいの収入が得られそうなのか?

スポットやアルバイトのコーチであれば、だいたい時給800円〜1,000円ぐらいのところでしょうか。
普通のバイトと同じぐらいですかね。
私も大学生の時に初めてバイトコーチをやった際は、この範囲ぐらいだったと思います。

「好きなサッカーでお金もらえるなら、最高!」と思って携わり始めましたが、
ちょっとすると、普通のバイトと違うところがあることに気付くんですよね。

「入れる時間が短い!」

ということに。

普通のバイト、例えば居酒屋やガソリンスタンドのアルバイトであれば、
自分が頑張って長時間入れば、その分給料が増えます。
しかし、サッカーコーチだと、1日でいうと15時〜21時ぐらいまでが一般的で、
時給1,000円としてもMax 6,000円ぐらいになってしまうんですよね。
しかも毎日活動しているわけでもなく、週に2-3日程度。
なので、ひとつのアルバイトの選択肢となると、
「好きだからいいか」ぐらいの感じになると思います。

 

では、専任コーチとしてそれ一本の「仕事」とするとどうなのか。

これもやりがい搾取とまでは言いませんが、ラクなものではないというのが実情です。

街クラブの「専任スタッフ」としてもらえる報酬としては、
月収15万円〜25万円ぐらいのところが相場です。
これだけもらえるなら恵まれている方ではないかと。

考えなければいけないのは、
これが初任給というわけではなく、今後継続する収入となるということ。
日本で一般的な企業であれば、多少なり毎年のベースアップもあり、
ボーナス支給もあったりしますが、サッカーコーチにはそれは期待できません
好きなサッカーで日々の生活ができるのであればそれで満足というところはあると思いますが、
長い目で見ると決して多いわけではないというのが、
客観的に見た指導者としての稼ぎということになるかと思います。

20代後半〜30歳ごろになって、「結婚するので辞めます」というサッカーコーチを多く見てきました。
それがこの収入面での壁になっていることは間違いありません。

自分でクラブを立ち上げたら儲かる?

クラブに雇われた場合の収入に壁があるのであれば、
思い切って自分でクラブを立ち上げる、ということも考えるでしょう。

それで儲かるのか?

ということは事前に考えておくべきでしょう。

街クラブでの収入のベースとなるのは、基本的には「会費」、「月謝」がほとんどになるでしょう。
(クラブでスポンサーを獲得できるようなことがあれば少しは増えますが)
そこからグラウンド利用料やボール、ビブス、ゴール、マイクロバスなどの諸経費が
引かれる形となります。

すべてのベースとなる会費の金額設定は難しいですよね。

安くして多くを集めるのか、高めに設定して少数精鋭でも一定の収入確保を目指すのか。
とても悩むところだと思います。

 

ただ、結論でいうと、どちらの設定にしても、
手元に残るお金としては、それほど大きく変わらないかと思います。


どちらの場合でも、立ち上げたクラブでの指導力に評価が高まって会員数がどんどん増えたとしても、
ひとりのコーチが1クラスで目を届かせることができるのは20人前後ぐらいまででしょう。
そうなると、会員が増えれば増えるほど、
新しい指導者(もしくは時間帯)を増やす必要が出てきます。

結局そこで人件費がドーンとアップすることになるので、
会員数=指導者の収入アップ には直接つながりにくいんですよね。

これはあくまでしっかりとした指導をしようと思った場合なので、
1クラスを40-50人にしても一人のコーチに担当させるなどすれば変わってきますが。
ただ、長期的に見て評価を得るのが難しいと思いますので、現実的ではないですよね。
それによって評価を落としてしまえば、会員数が減ってしまうというリスクもありますし。

少数精鋭をうたってレベルの高い指導をウリにするとするならば、
より高い報酬を払ってでも良い指導者を確保する必要が出てきます。
ここは避けられないポイントですね。

ということで、クラブを立ち上げた場合でも、サッカークラブ運営だけで
大儲けするというのは、あまり考えないようにした方が良いと思います。
(活動場所を無償や格安で手配できる場合はもう少しラクになるかと思います)

儲けることが簡単ではない業態で大きく稼ごうとすると、
本来削るべきではない経費を削ったり、やっていはいけないことに手を出したり、
という可能性も出てきます。

他に仕事を持っているわけでもない監督・コーチが、
やけに羽振りが良いように見える場合は、少しは疑いの目を持ったほうが良いかもしれません。
(もちろん、他の仕事でガッツリ稼いでいる人であれば、大丈夫ですね)

ステップアップした場合の収入は?

最初はアルバイトコーチ、スクールコーチでの低めの給料からスタートしたとしても、
自身の努力次第で上を目指せるのもプロとしてのコーチの魅力だと思います。

ではその場合に、どれぐらいの収入が見込めるのか?

 

S級ライセンス必要なJリーグクラブの監督にまでなれるようであれば、
1,000万円〜1億円といった高収入の可能性も出てきます。

そこまで行かない場合でも、社会人・実業団チームであれば、
正社員として雇われながら、400-700万円ぐらい得られる可能性も出てきます。
(ここは企業によってさまざまです)

あるいは、それなりにお金を持っている大学の監督として、
500−800万円ぐらいの提示を受けることもあるでしょう。
(サッカー部監督専任の場合もあれば、職員として別業務に携わる場合もあり)

こういった場所は、目指すひとつの場所になり得るかなと思います。

結論

多くの場合を見て、サッカーの指導者に関しては、
日本であればJリーグ、その中でもトップリーグであるJ1クラブの監督でなければ、
数千万円という年収を得るのは難しいのが現状です。

それ以外であれば300−700万円ぐらいというのが現実的な収入範囲になるかと思います。

同世代の会社勤めのサラリーマンと比べると、多少なり少なめになるのが実情かと思います。

この数字を前にして、「好きだからやれる」とか、
「お金関係なしに自身のすべてを捧げられる」といった思いを持てるか。

「自分にはサッカーしかない」からではなく、
幅広く考え、価値観を持った上で判断をしていってもらいたいと思います。

もちろん、かけがえのない瞬間、人の成長に携わることができる指導者というのは、
素晴らしい仕事だと思っています。
だからこそ、選手のことを考えれば本気でやれる人がやるべきだし、
中途半端な想いでやってはいけない仕事だとも思います。

生涯を通して携わっていける人、
そんな人にサッカーコーチとしての道を歩んでいってもらいたいと思っています。

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